第7回講演会 詳細     前回  次回   一覧へ戻る
日付 2003年9月6日(土)
時間 15:00〜18:00
場所 渋谷アイビスビル10階
内容

『アンダーグラウンドを観たことがありますか』

講師 越村 勲
プロフィール

1953年、富山県生まれ。一橋大学卒業と同時に旧ユーゴ政府の奨学生としてクロアティアに留学。ザグレブ大学大学院にて政治学修士号、一橋大学にもどって社会学博士号取得。千葉大学文学部助手、東京造形大学助教授を経て現在同教授。専攻は東欧の社会史、社会運動史。ただ近年は映画を通した歴史イメージの形成、アニメーション作品と社会のかかわりなどについて教育・研究を重ねている。

要旨 1995年はいわゆるユーゴ内戦が一応の終結を見た年で、この年のカンヌ映画祭では「アンダーグラウンド」がグランプリを獲得した。これはユーゴ社会主義を地下世界にたとえた、ブラック・ユーモアたっぷりの劇映画である。今回は、ユーゴ史の基本的な事実関係を説明した上で、この映画を一時間弱のダイジェストにして観る。そうすることで、ユーゴの人々が90年代から過去を振り返ったときの「歴史イメージ」(の一例)が浮き彫りになるだろう。  この映画の原作は『かつて一つの国があった』だが、最近のある研究(セルビアとクロアティアで同時に出版された)は、ユーゴ社会主義はその独自路線を追求すればするほど国家が分裂せざるをえなかった、とみている。事実自らの力で内戦を抑えられないほど軍権力も分散化されていた。そもそも社会主義ユーゴ最後の憲法は「国家の死滅」をめざしていた。講演の後半では、こうした最近の解釈もかいつまんで紹介したい。もちろん、民族対立が限りなく激化するには、国際社会の無理解や国際機関の政策の不徹底などが大きく影響したと思われるが…。